ニーハオ安徽 2004年9月発行 第20号 P1 P2 P3 P4 P5

第二の故郷 高知県 -元研修員からの便り-
 
高知県で海外技術研修員として長期研修をされた 宰歩龍さん、
蔡衛兵さん、 林高興さんは、 研修の成果を活かして安徽省で活躍中です。
 現在されているお仕事や、高知県での思い出についてお便りをいただきました。




1997年6月〜1998年3月
林業技術
高知県林業試験場


林業技術研修の成果と応用

  高知県森林局と高知県林業試験所で、林業行政管理、林業技術普及、森林整備、木材加工、保安林、育林、育種及び組織培養、日本杉花粉症、椎茸栽培などの研修を受けました。また、日本の友人もでき、日本の生活、文化、自然を体験でき、非常に得ることが多い研修でした。

  帰国後、安徽省の工業原料林の建設管理、林業と工業間の提携及び林業企業の対外開放や提携などの仕事に引き続き携わっています。日本での研修成果、特に育種、育林を林業プロジェクトの管理に活用しています。松毛虫の攻中性育種プロジェクトと中日林業技術交流模範のために安徽省へ来た役員や専門家、中日友好造林のボランティアの方々や、観光に来た日本人友人に、日本語翻訳と通訳をすることもあり、日本語の勉強も続けています。また、日本の林業技術と管理経験を中国の同業者に紹介しています。

【ベトナムの森林と林業】
   日本語を中国語に翻訳。『熱帯林業』という日本林業雑誌から抄訳した論文。中国 国家林業局経済発展研究センターと中国林業経済学会が編集《林業経済》1998年 第6号。

【日本の森林組合】
   日本森林組合の由来、現状、組織構造、役割、業務内容及び、わが国の集体林 に発展がこれを参考となる経験などを紹介中国林業か科学院林業科学技術情報研 究所編集。《林業と社会》1999年第6号。

【日本の林木育種事業】 
   日本から持ち帰った16冊の関連ある日本語書籍と資料を参考にする総括的な論。 日本林木育種の歴程、育種機関、育種事業の内容、成果及び日本国民の今後林木 育種に対する期待を中国の同業者に全面的に紹介。《中国国家林業局科学技術委 員会と国家局技術情報センター編集『世界林業研究』2001年第5号》

【我が国の私有林の発展】
   日本の民有林と私有林の管理経験を参考にし、我が国が私有林を発展する意義 、発展範囲、形式、特恵製作、貸付、保健、相互、私有財産保護などの問題につい て討議。《国家林業局経済発展研究センターと中国林業経済学会が編集『林業経済 』2001年第11号》
 《2001年1月に著述した『安徽工業原料林建設』を分かりやすく説明。安徽省林業庁 が編集『安徽林業』2001年第1号》
 《1999年『朝日新聞―――新・土佐日記』に寄稿し実現。日中国交正常化記念日9月 29日に掲載。(第1回の寄稿は1998年3月23日に『朝日新聞・高知版』に掲載》




1998年10月〜1993年3月
森林計画管理
高知県森林局 森林政策課


懐念高知


  初めての海外。6年前、興奮と不安の中、高知に着いた。子供の頃から、日本は先進国だという印象だったのに、高知に入った時、安徽省南部の山間部に戻るような感じだった。町は整然としており、人々も優しい。高知の山、水、人は中国の山水画のように静かで、調和が良く取れている。十ヶ月間の生活をし、高知に親しみを覚えた。

  帰国後、高知県森林技術センターで学んだことを活かし、高知と安徽省の友好交流に一役を買った。何度か高知からの植樹ボランティアの方々と一緒に木を植えに行った。高知からの友人に会うと、嬉しくてたまらない。2001年から、日本国際技術協力プロジェクト「日中協力林木育種科学技術センター」が始まった。私は安徽省のカウンターパートとして、そのプロジェクトに参加した。

 2003年下半期、技術研修の一環で、再び日本への機会を頂いた。専門家が研修場所の希望を聞いてきた。「良ければ高知に行きたい」と答えた。高知に入る前に京都府立大学で研修をした時、高知県森林技術センターの私の担当宮田さんからファックスが届いた。私にホームステイを薦めるファックスだった。高知では友だちも増え、たくさんの人にお世話になった。時々一人で自転車に乗り、5年前の思い出を呼び戻したりもした。高知は私たち安徽省研修員の「第二故郷」だ。

  あっという間に高知県での研修生活は終わった。飛行機から望む土佐湾のように両手を広げ、お互いに世界とそして高知と抱き合っていこう!

 高知、さようなら!
 高知、また会いましょう!

 



1999年6月〜2000年3月
森林管理
高知県森林局 森林政策課

研修の成果と応用


  森林企画管理、技術普及、森林整備、間伐、木材加工、保安林、休養林、林業の行政管理や技術の研修を受けたのは約5年前になります。

  2002年6月から安徽省林業庁の「中国とドイツの協力プロジェクト弁公室」にて専門副主任を担当しています。そこでは、日本で研修した成果を林業外資プロジェクト実施と管理に、以下のように応用しています。

(一) 企画管理:プロジェクト区域の土地や山の、利用状況や苗木、資金、労働力、問
   題点などの現状を調べ、政府役員、技術員、農家と一緒に最適な措置を検討します。

(二) 工程管理:多種多様な森林や樹木の混合や活用法、喬木、灌木、雑草などの組み
   合わせの提案。現有林の間伐、天然林の保健増加などの営林措置を推進します。そ
   して水土保全の措置(傾斜地を階段地にし、泥砂が河底に沈積し、生物体などを取り
   除く)造林または森林の更新を図るため雑草や灌木を焼き払うことと全開墾整地する
   ことを禁止し、生物で病虫害を防ぐ措置を推し進めます。

(三) 項目の監視測定:施工の位置と面積、技術措置(整地措置、樹 種配置、植付け密
   度)、施工の効果(活着率、保存率、撫育と成長情況など)と施工品質を追跡し、視測
   定す。そして、その結果の分析、評価、問題を提案。

(四) 行政管理:プロジェクト管理の規範文書を制定。規格、造林、剪定、間伐、財務など
   の育成訓練。プロジェクトの各種パンフレット、契約書、図表、カード、証券などの製作
   。資金の決算報告制度と監査制度の実施。データバンク管理システムとプロジェクト
   効果メカニズムの立ち上げ。

  そして現在、林業の国際交流・協力の仕事に携わっています。研修前後共に、行政代表団、中日友好造林、植物園、専門家、ボランティアなど様々な高知県からの訪問団を接待してきました。今は、高知県の方々にお会いするたび、高知での研修や、生活、お世話になった方々、友人たちのことを思い出します。



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