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Letters from Abroad

 高知県出身で、JICA青年海外協力隊の竹島園子さんと、高知のNGO日本語教師として中国に派遣されている小屋本さんからエアメイルが届きましたので、ご紹介します。



「 レ ベ ル の 高 い 分 析 員 」

竹島 園子(派遣国)ブルガリア (職種)水質検査

 私はブルガリアに水質検査という職種で平成12年12月に派遣されました。配属先はヴァルナ地域環境監視局という、ブルガリアに15個ある地域環境監視局のひとつで、ブルガリア北東部の河川、湖沼、海水、地下水、土壌、大気の他、工場排水、廃棄といったものの監視を行っています。職員数は約40人、そのうち実際分析業務に携わっているのは10人強です。日本でも環境分析、調査、アセスメント等を扱う部署に勤務していたのでここでも同じような内容をこなしています。
 私の養成内容はガスクロマトグラフという機器を用いた分析業務に従事する、というもので、今、世界的に問題になっている環境ホルモンと呼ばれるような物質の分析です。しかし、現在ここではそのようなサンプルは数が少なく、その他の分析業務をこなすほうがメインとなっているのが現状です。

首都ソフィアの街並み
 まだ数ヶ月しか滞在していませんが、ブルガリアの分析員は技術的にレベルが高いように思われます。一般 的にもブルガリア人は理数系が強いようで、数学の世界オリンピック大会等で良い成績を修めているようです。しかし、ひとつのことを長年やっているだけで、その他のことは知らないわ、というような面 も見られます。それは民族的な習慣や考え方からきているのかもしれません。中にはとても勤勉な人もいて、"私はこんな風に分析しているが日本ではどうなの?、どんな風にやっているの?"といった質問を受けます。私も本を読みながら(もちろん日本語)ああでもない、こうでもない、と一生懸命答えているのですが、なにぶんまだ言葉が十分ではないので言いたいことのすべてが伝えられないのが残念でなりません。逆に私の知らない分析について質問して教えてもらったり、日本で私が見たことないようなやり方や道具もあり、興味をおぼえます。
 "お金が無い"という理由で改善できない点があります。無いなら無いなりの解決方法をなんとか見つけたい。それが今後の大きな課題です。

 

「 中 国 黄 山 で の 日 々 」

小屋本 るみ子(黄山高等専門学校日本語教師)


黄山にて:前列左から2番目が小屋本さん
 安徽省黄山に来てから一年が経ちました。一日の時間がゆっくり進むのでなかなか実感できなかったのですが、一年が過ぎるのは意外に早かったです。
 黄山に来てすぐ、中国の国画を習い始めました。教えてくださっているのは、黄山市書画院副院長の兪先生です。有名な先生らしく、テレビでドキュメンタリー番組が作られたり、切手のデザインをされたりと、なかなか忙しい方です。
 真面目で親切な方で、絵心のまるでない私にも根気よくつきあってくれます。申し訳ないくらい下手な私なのですが、下手は下手なりに描いていると楽しい気分になるので不思議です。たまにそれなりに描けたものは部屋に貼っています。今のお気に入りは紅梅の絵です。
 授業のある書画院では時々個展が開かれるのですが、そこでアルバイトをしている女の子が私が日本語を教えている学生だったり、中国の学生たちの日常生活を知ることもできたりします。
 絵の授業が終わったら、老街という明清代からある商店街をぶらぶら歩きます。観光商店街で旅行客用のみやげ物ばかりならんでいるのですが、ゆっくり歩くと面 白いものを見つけることもあります。マッチ箱にラップをかけたものに入った小さな小さな鈴虫は、「ポケットに入れて歩きながら音を楽しむんです」と教えてもらいました。
 それから知り合いのお茶屋さんでお茶をごちそうになったり、猫と遊ばせてもらったり、老街もですが、町全体の移り変わりが激しいので、町を見ているだけでも面 白くなっていきます。数日前にはあったものがいきなり消えていたり、なかったものが出現しているのはもう日常茶飯事で、パワフルに壊してパワフルに作る、中国そのものだな、といつも思っています。
 そのくせどこか穏やかでもあり、そんな不思議なバランスがとても居心地がよく、毎日をのんびりと過ごしています 。


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