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子どもアジア文化体験事業

韓国派遣団2001

 平成13年8月17日から23日まで子どもアジア文化体験事業「韓国派遣団2001」が実施され、県内の中高校生20名が韓国を訪問しました。
 ホームステイや独立記念館見学の感想を津田学君(追手前高校2年)と鍵山怜子さん(土佐中学校1年)にインタビューしました。


(写真) 仏国寺にて記念撮影



韓国民俗村で見た「農楽」

景福宮にて (ソウル)

光州のワールドカップサッカー競技場



ホストファミリーと (中央:津田君)
韓国に興味を持つようになったきっかけは?

津田 韓国の風景は日本の風景と似ていますが、言葉も違うし社会制度も違います。以前、読んだ本には「1988年当時の韓国では、高校の野球部が練習している前で同じ高校生が軍事訓練を受けていた」とあり、日本と近いのにこんなにも違いのある国、韓国に興味を持つようになりました。

ホームステイはどうでしたか?

鍵山 ホームステイが始まるまでは言葉がわからないのでドキドキしていましたが、いざホームステイが始まると、ジェスチャーや知っている英単語を使って話ができたことに感動しました。ホストファミリーはデパートやダウンタウンに連れて行ってくれて、私の家族へのお土産まで買ってくれました。本当の家族のように接してくれたのが一番うれしかったです。

津田 僕たちがホームステイしたのは教科書問題や小泉首相の靖国神社参拝問題で反日感情が高まっていた時期でした。にもかかわらず、ホストファミリーの皆さんは韓国語も話せず、何も知らない日本の若者を温かく迎えてくれました。日本人は人との間に垣根を作りたがりますが、韓国人は初対面でも親身になってくれます。このような状況の中でも温かく接してくれたホストファミリーに人間の愛情というものを感じ、とてもありがたく思いました。ホームステイをとおして「他の国の人も私たちと変わりのない人間なんだ」ということを実感することができました。


鍵山さんとホストファミリー
のイニョンさん
韓国の生徒と交流して感じたことは?

津田 言葉ができないので深いところまで知ることはできませんでしたが、僕の会った韓国の生徒は、僕の周りにいる日本の生徒とほとんど変わらないという印象を受けました。でも、どちらかというと日本人よりもフレンドリーでしょうか。国の歴史については、韓国の生徒の方が日本の生徒よりも多く学校で習っていると聞きました。

鍵山 私が接した生徒は歴史のことや日本との問題について考えていて、日本の生徒とは違うと思いました。

独立記念館を見学した感想を聞かせてください。

鍵山 確かに日本兵が犯した行為だということは理解できました。でも、その一方で、同じ日本人がそんなことをしたとは信じられませんでした。今の日本人だったら絶対にできないと思います。その当時の日本兵は国のためにやったんだと思います。
 独立記念館の展示内容は韓国側に偏りすぎていると思います。その偏りを無くすためには韓国の教科書を日本語に訳したものを日本人が読み、日本の教科書を韓国語に訳したものを韓国人が読んだりして、お互いの国で歴史がどういう風に伝えられているかを知ることが必要だと思います。帰国後、中学校の授業で「韓国併合」を習ったのですが、やはり日本と韓国の伝え方には大きなギャップがありました。

独立記念館見学

津田 複雑な気持ちになりました。僕は戦争や植民地時代のことを考えるときは、私情を排して考えるようにしています。「歴史には本質的に善悪はない」という観点で見ようと努めます。しかし、母方の曽祖父が憲兵だったこともあり、独立記念館を見学した時は複雑な気持ちになりました。
 日本と韓国の恐ろしい点は、両国とも単一民族の国で意見が偏っているということです。教育面においては、自分の国の正当性を主張する程度で歴史を伝えることは問題ないと思うので、日本と韓国の方針は間違っていないと思いますが、もっと考え方を上にして、善悪を排した、例えば道教のような視点でお互いが捉えないと、先は見えてこないと思います。

現在、学校で行っている歴史の授業についてはどう思いますか?

津田 戦争についての記述は「臭いものには蓋をしろ」的なところがあると思います。「君が代」についても自分の意志で教えないというのではなく、「関わりがあったらややこしいから教えない」という教師が多いように思います。戦争についても同じだと思います。教科書について言えば、内容が詳しくなっても面白くなければ生徒は寝ると思いますよ。

派遣団に参加することによって得たことは?


ソウルのワールドカップサッカー競技場見学
津田 歴史の良い面、悪い面、そして韓国の人々の考え方などがわかったことはとても意義がありました。また、一緒に韓国に行った生徒の中にも「すごい」と思わせる人がいて、そういう仲間と出会って、いろいろな考え方を共有できたことも刺激的でした。

鍵山 知ることの喜びを知りました。もっと勉強して、今回、韓国で見てきたことを周りの人に伝えたいです。また、私は将来、外交官になりたいと思っているのですが、引率してくれた高知県国際交流協会の職員の方に外交官になるためにはどうすればいいのか、たくさん教えていただきました。一歩、夢に近づいた気がします。年齢も学校も違う人たちと友達になれたこともうれしかったです。周りの人から、いろんなことを吸収することができました。

今後、「こんなことをしたい」と思っていることがあれば教えてください。

鍵山 ホストファミリーが優しくしてくれたのが、すごくうれしかったので、私もみんなに優しくしてあげたいと思いました。人に優しくするのは大事なことで、人に優しくすることができれば自分も成長できるような気がします。友達にも、このような素晴らしい体験ができる機会があることを教えてあげたいです。

津田 今まで語学を勉強していなかったので、英語を勉強したいです。したいことを伝えるだけなら言葉がなくてもできますが、深いことを伝えようと思ったら、どうしても言葉が必要になってきますから。


参加者の感想

独立記念館で見た日本人の韓国人に対するひどい仕打ちが忘れられません。特に一番頭に残っているのが、私たちくらいの年の子が日本の兵士の相手をさせられていたことです。実際にそれは日本でも戦争に負けた頃にあったことだろうし、私たちには想像もつかないほど悔しかっただろうし、悲しかったと思います。
(久礼中2年・浪上 望)

これからも韓国でできた友達ともっと交流を深め、歴史について韓国の人が知っているのに日本人が知らなかったなどということがないように勉強し、自国の考え方をきちんと説明できるようになりたいです。
(鳶ヶ池中学2年・原 夏美)

韓国に行くまでの大きな不安は、ホームステイという貴重な体験で「何事にも挑戦していかないといけない」という気持ちに変わりました。日本と韓国の間にはたくさんの問題があります。でも、交流することによって相手の気持ちも考えられるようになるのではと思いました。
(北陵中2年・川村 里沙)

外国の人たちの生活や文化を実感し、日本と比較して日本や世界をどうやって良くするかを考えることが重要だと思います。僕も一生懸命勉強して考えます。人に親切にされることが、とてもうれしいということも今回の旅行で学びました。
(土佐中3年・横山 太河)

タクシーの運転手は僕が日本人であることを知って握手を求めてきました。料理店のおじさんも、僕が日本人だと聞くと他のテーブルよりもっと腕によりをかけて作ってくれているようでした。みんな過去の失敗を防ぐことは無理だけれど、これからの日韓関係をより良くしていくことは可能であることを知っているようでした。
(追手前高2年・福本 陽一)

別れの時、ホストファミリーのユリアンと私、団員のみんなが流した涙や忘れられない思い出は、国など関係なく私たち人間と人間の絆になっていくはずです。
(高知南高3年・元吉 実香)

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