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Autumn No.23

Visitors from
Abroad
--- 高知県出身で、現在青年海外協力隊としてご活躍されている方々のお便りをご紹介します。 ---

「コスラエの宗教」  

浜田 浩紀 (職種)養殖 (派遣国)ミクロネシア

 今日は日曜日。我々日本人にとってはとても退屈な日です。なぜならここコスラエでは何もしてはいけないからです。海で泳ぐことも、魚釣りを初めとした全ての殺生も、自転車さえもこいでいると少しいやな顔をされます。またアルコールを飲むと警察に逮捕されてしまいます。これは、ここコスラエはほとんどがクリスチャンの島であり、日曜日は安息日という考えからきています。ほぼ100%がキリスト教で、そのなかの90%はプロテスタントを信仰しています。そしてこの慣習はなぜか外国人にも適用されています。
 そこで我々が日曜日に何をしているかというと、たいていは家で本を読んだり、ビデオを見たりして過ごしています。ビールを飲む時は隠れてこっそり飲んでいるのです。しかし、数人の隊員は積極的に教会へと出かけていきます。日曜日の教会は、誰もが一度はホームステイ先の家族に連れられて行ったことがあります。教会には皆おしゃれをして出かけます。中はかなり広い礼拝堂になっていて、コスラエ人がアカペラで歌う賛美歌はとても美しく、日本では馴染みのなかった私にとって大変心に響くものです。また牧師さんの説教も新鮮に写ります。心を落ち着けにいくのには信仰心がなくともよい場所です。
 こんな島ですからクリスマスは一大イベントです。この時期が近づくと皆そわそわして、仕事そっちのけでクリスマスマーチの練習をします。昨年のクリスマスは隊員たちもホストファミリーと一緒に参加し、正装して賛美歌を歌いながら教会内を練り歩きました。女性はキャンディーなどをばらまきながら歩き、男性はきれいに飾り付けをした輪っかを振りながら歩きます。今年は4年に一度の大きなクリスマスを開くようです。他の州や、ハワイ、グアム等に出稼ぎに行っているコスラエ人も里帰りしてきます。きっとコスラエ人も我々協力隊も、大はしゃぎするようなクリスマスになることでしょう。


「モンゴルからこんにちは!」 

浜崎 ちせ(職種)獣医 (派遣国)モンゴル

 高知の皆さんお元気ですか?この通信もとうとう最終回となりました。今回は私の職場についてお話しようと思います。
 私は現在、モンゴル国立農業大学獣医学部の生理学・形態学科に配属され、病理組織学を担当しています。獣医学部には5年制と3年制の二つのコースがあります。5年制コースは5年間勉強した後、マリンエムチ(獣医師)の資格を取るもので、3年制コースは他の専門学校で3年間勉強してバガマリンエムチ(「小さい獣医師」という意味なのですが、たぶん準獣医師という意味あいでしょうか)の資格を取った人たちが、マリンエムチになるコースです。
 先生方はほとんど皆、ロシアやチェコ、旧東ドイツに留学経験があり、その教育レベルはかなり高いようです。しかし、モンゴルでその技術や知識を活かそうとするとなかなか難しいというのが現状で、それはやはり設備や薬品の不足が一番の理由のように思われます。私の担当分野にしても、赴任した当初はほとんど何もないという状態でした。授業をしようにも適当な組織標本がなく、まずはその標本作りから始めたのですが、その標本を作るためのホルマリン、アルコール等薬品を手に入れるのがまた難しい…という具合。それでも私たちの研究室で、病理組織学的診断ができるところまで持っていくことを目標に、同僚の先生方と協力しながら作業を進めています。モンゴルでは本が少ないため、学生たちは講義内容を全てノートに書き取って、それを自分の教科書代わりにしてます。学生実習用の顕微鏡は数も少なく、また反射鏡使用のため細部までの観察は困難で、今のところ携行教材として入れた一台の顕微鏡を皆で交互に見ている状態です。学生たちは非常に熱心で学習意欲も旺盛なので、これでもう少し精度の良い実習用顕微鏡があればもっとよく学んでもらえるのに、と残念でなりません。このような状態で、少しでも理解の助けになればと現在標本スライドを作成中です。
 赴任して一年半、何がなんだかわからないままバタバタと過ごしてしまい、もっとやりたいこと、やり残したことが山のようにあるという気がします。残り半年ではとても全てをやり終えることは無理でしょうが、できる限りを尽くして任期を終えたいと思っています。
 それでは、高知の皆さんが少しでもモンゴルに興味を持たれ、今後の両国の友好関係にご協力下さることを祈りつつ、通信を終えたいと思います。

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