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Autumn No.23

あの優しい笑顔にまた会えた!

今年もJICA青年招へい事業の一環で、平成11年7月21日から8月5日までラオス青年20名が来高しました。今年の専門は地域開発で、葉山村での老人福祉施設訪問や、梼原町での津野山神楽見学など、町おこしや村づくりの現場を視察しました。また合宿セミナーでは日本人青年との交流を深め、ホームステイでは日本の生活や文化を体験しました。一方、葉山村中学生を中心にした友好訪問団が8月18日から27日にかけてラオス、ベトナムを訪問し、高知で交流を深めたラオス青年との再会を果たしました。

ラオスメモ

面積:
人口:
首都:
公用語:
宗教:

24万I
504万人
ビエンチャン
ラオス語
仏教


「高知での研修」

チャンタウォン・ポンナチット

 ラオスは今、変革期にさしかかっており、農業・健康・教育・交通を4つの柱に掲げて地域開発プロジェクトを進めている。農業では農地拡張、水路建設、品種改良、果樹栽培を、健康面では清潔な飲み水の確保、トイレの普及、保健所や病院の設置を、教育では、小学校の建設や教師の育成、絵本の配布を、交通においては首都から地方への主要道路、村から近隣の町への道路の整備等に力が入れられている。
 高知での研修では、日本人の勤勉さに強い印象を受けた。梼原町や葉山村の視察では、地域で得られる材料や労働力を活かして小さい規模で運営されている工場等を見学し、中小企業から大企業へとつながっている仕組みを理解することができた。
 今後は、質のよい紙を作る技術や、出荷後の野菜の品質保持、果物の缶詰め生産の技術指導を依頼したい。
 日本人青年との交流を通して、彼らも自分たちと変わらないということを強く感じ、心が通じ合う友達になれると思った。高知とラオスの交流がずっと続くことを願っている。


「合宿セミナーでの交流」

松本 千代

 ラオス語が話せない私が、説明に苦労したのが大浴場だ。ラオスには銭湯がないので、「Big Bath Room」と言っても彼女たちには想像もつかなかったようで不思議そうな顔をしていた。「百聞は一見にしかずだ!」と思い、見に来るように言うと、一人の青年がついて来てくれた。彼女は大浴場を一通り眺め、マッサージイスに座って部屋に帰ったが、次の日「入る!」と宣言し、一緒にお風呂に入った。他人と一緒にお風呂に入るなんて、きっと生まれて初めての体験だったのではないだろうか。
 部屋で交流パーティで歌う「上を向いて歩こう」の練習をしている時のこと。練習する私の傍らで、歌詞カードを見て一語一語ラオスの文字でふりがなを振り、一生懸命覚えようとしているのだ。廊下を歩く時も、エレベーターを待つ時も、ずっと一緒に歌っていた。
 合宿セミナーに参加して、このような彼女たちの日本文化に触れよう、日本人と交流しようという心を感じ、とてもうれしく思った。友達になれた彼女たちとこれからも交流を続けていきたい。


「家族のように過ごした3日間」

橋詰 宏文

 私たちは知っている単語をならべながら身振り手振りをフル活用して、それでもだめな時はお互いに辞書を見せ合って、家族のこと、食べ物のこと、物価のことなど3日間でいろいろな話をした。2日目の夜にはラオス料理を作ってくれた。とてもおいしくて、ノイさん自身も久しぶりの国の味にお代わりをしていた。
 楽しんだのは私たち大人だけでなく、子どもたちも同じだ。1日目、ちょっと近くのスーパーに買い物に行った時、子どもたちは2人ともノイさんのひざの上でニコニコ顔だった。もう、すっかり甘えてしまって、あろうことか遠路はるばるラオスから来たお客さんにお風呂に入れてもらって、歯磨きまでしてもらってしまった。1歳の女の子は「ノイちゃん、ノイちゃん」と3日間つきまわっていた。3歳の男の子も一緒に龍河洞へ行ってとても楽しそうだった。よく気がつくノイさんには本当に感心した。
 この他にも、食事の準備や後片づけなど家族のように過ごしてくれた。ホームステイは、本来は受け入れる側がお世話をするのだろうが、ともに過ごしたという感じの3日間だった。楽しい思い出をありがとう、ノイさん。


「ラオスの物価」

葉山中学校3年 久保浦 大貴

 ラオスの正式な通貨はキープ(キップ)で、1円は81キープと同じ価値があり、1ドルは約9,500キープである。少し前までは1ドルが約6,000キープだったそうで、ここ数年の間に急激にキープの価値が下がっている。
 ラオスでは公務員の月収が約15ドルで、日本円にして約1,750円程度、教師はもっと少なくて月収8ドル、日本円で約940円しかもらっていない。そのせいで近年、教師の数がだんだん少なくなってきている。教育に力を入れて、人材を育て、生活のレベルを上げていこうとしていると聞いたが、今後ラオスがこの問題についてどう対処していくのか心配だ。
 物価は予想通り、ラオスと日本では大きな差があった。例えば、ジュースは1本40円くらいと日本では考えられない値段である。それより意外だったのは、食品や日用品はとても安いのに、バイクや自動車の値段が日本と同じくらいだったということだ。バイクの値段は日本円で59,000〜70,000円、自動車は175万円〜235万円くらいだった。その理由は、ラオスにはまだ自動車やバイクの工場が少なく、ほとんどがタイなどから輸入しているからだと分かった。しかし、月収15ドルくらいなのに、どこをどうすればそんな金額の物が買えるのか不思議でならない。バイクは数え切れないほど走っているし、車もかなり走っている。一体どういうメカニズムなのだろう。


「ラオスの子ども」

葉山中学校3年 片岡 真美

 ラオスの子どもたちは外見はほとんど日本人と変わりがない。でも、服装が違っていた。古着のような服を着ている子どもが多く、靴もはいていない子どもがいる。
 日本ではあまり見かけない光景も見た。それは、働く子どもたちだ。バンサンハイ村を訪ねたとき、そこでも子どもたちが働いていた。子どもたちはいろいろな生地を機会で織っているところを私たちに見せてくれた。大きなバケツを持って酒作りを手伝っている子どももいた。小さい頃から親の仕事を手伝って自分の仕事にしていくのだそうだ。
 ラオスの小学校は5年制で、中学、高校、大学は日本と同じだ。ラオスの就学率はだんだん上がってきていると言っていたけれど、小学校に入学しても家庭の都合で途中で辞める児童もいる。また学校の施設が十分でないことも途中で辞める原因になっている。男女でも差があり、途中で学校を辞めるのは女子の方が多いそうだ。私たちは小学校や中学校で勉強することが義務であり、当り前のように思っているけれど、ラオスでは中学校への進学率は60〜65%で、約40%の児童が小学校で勉強を終えることになる。
 ラオスの子どもたちと直接話すことはできなかったけれど、大変な状況の中で生活していても、子どもたちは皆笑顔で、優しい表情をしていた。日本では、すごく恵まれた生活をしていても、そんな優しい表情はラオスの子どもたちに比べると随分少ない気がした。ラオスの子どもたちのことを考えてみて、日本との違いなどがわかって良かった。


「青年海外協力隊」

葉山中学校3年 山本 藍

 ラオスで活躍している青年海外協力隊員の一人である関さんは、写真が専門で王宮博物館で働いている。関さんがラオスで生活するときの心がけは「日本の常識はラオスの常識ではない。時間の流れが違う。イライラせずにおおらかに」ということだった。この関さんが興味を持っているのは、ルアンプラパンから20キロほど離れた所で農業の指導をしている谷さんの生活スタイルだそうだ。そこは水道の設備が整っていないので、飲み水以外はラオスの水。お風呂はメコン川へ、食器などは雨水を使って洗っているそうだ。谷さんは、「ラオスの川だからこそ泳げる。東京や大阪ではとても恐ろしくて絶対に泳げない」と私たちに語ってくれた。今ラオスに貢献している日本の青年は60人前後の協力隊と、その他合わせて100人以上おり、7割は医療、保健関係でラオスの発展に協力している。問題点は、プロジェクトが大きすぎて資金が足りなかったり、データが間違っていて仕事が遅れたりしていることだ。一番進めたいことは、生活、教育、農業など地方の技術レベルをアップさせることだそうだ。
 今回の訪問で、協力隊員が話していた「日本の常識はラオスの常識ではない」ということが痛いほど分かったし、日本がどれほど豊かで贅沢な暮らしをしていたのかが分かった。物も豊富で何一つ不自由しない生活が当り前ではなく、感謝しなければと反省させられた。

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